目玉の記憶
2008.05.08 Thu
キジムナがいつもの様に、捕ってきた魚の目玉を食べていると、ビリッという軽い電気が口の中一杯に拡がりました。キジムナはニヤリと笑うと、その目玉を口から取り出し嬉しそうに眺めました。コレは久々の大当たりだぞ。キジムナはそう確信しました。
海にはこの星の記憶が沢山溶け込んでいます。海で暮らす魚達の目には、その記憶の断片が写りこんでいて、舌の上で転がしていると、様々な映像が頭の中に飛び込んでくるのです。
今日の目玉は特別なレア物のようです。キジムナは、はやる気持ちを抑えながらその目玉に何やら呪文の様な言葉を呟き、指先で軽く数回刺激を与えました。すると目玉から蒼い光が走り、目の前に2億5000年程前の太古の記憶が広がったのです。予想以上の衝撃にキジムナの興奮は最高潮に達し、その日から暫くの間、赤く燃え上がるキジムナの火の玉が夜の森を猛々しく飛び回りました。森中の生き物達は少なからず迷惑な思いをしながらも、暖かい目でキジムナの興奮が収まるのを待ち続けましたとさ。
昔話の中の深い森や海が、人間の深層意識の象徴だとするなら、その海を泳ぎまわる魚達の目には何が映っているんだろう。森の妖精(妖怪?)キジムナー達はその目玉を食べながら何を感じ取っているんだろう。そんな事を考えながら描いた作品です。
魚達の目玉に焼きついた、深い意識の奥に蠢いている荒々しい原始的なエネルギーこそキジムナ達の不思議な力の源なのだろうと思うのです。
- 2008/05/08(木) 12:10:50|
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